お金が減っても経費じゃない?「経費」と「負債」の違いを意識しましょう。

2019年4月23日

経営者でも勘違いしてしまう経理の謎。

「お金が減る=経費」ではありません。

 

お金の動きと売上・経費の動きはちがう

お金が増えたら売上、お金が減ったら経費。

これだけシンプルだったら、どんなに確定申告が楽でしょうか。

 

実際にはそうはいきません。

お金と売上・経費の動きが違うため、損益計算書(P/L)だけでは足りず、貸借対照表(B/S)が必要になります。

さらに詳しくみるには、「お金の動き一覧表」であるキャッシュフロー計算書(C/F)も用意すべきなのです。

 

利益がでているのに倒産した、いわゆる「黒字倒産」。

お金と利益の違いに気づかない結果、このような悲しい結末を迎えてしまうのです。

こんな事態にならないためにも、会社の血液であるお金の動きは日々チェックしなければなりません。

 

借入金の返済は経費ではない。支払利息のみが経費である

「お金が減っているのに経費にならないの?」

 

借入金の話をしているとよくされる質問です。

経営者の方でも勘違いされるのですが、借入金の返済は経費ではありません。

 

たとえば、

  • りんごを100円で売りました。
  • そのりんごは60円で買いました。

この場合の利益は、いくらかわかりますよね?

そうです、40円(=100-60)になります。

 

では、

  • A銀行から100円を借りました。
  • B銀行へ60円を返済しました。

この場合の利益は、いくらかわかりますか?

 

正解は「0円」です。

 

銀行からお金を借りようが、銀行にお金を返済しようが会社としては1円も儲かってないのです。

(支払利息から受取利息をひいた実質金利の分だけ損はしていますが)

ですので経費ではないですし、もちろん売上でもありません。

 

車をローンで購入した場合でも考えてみましょう。

 

車など30万円以上の大きいものは、「減価償却」により何年かにわたって経費になっていきます。

(30万円未満のものは一度に経費にできる特例がある)

家庭用の固定資産を個人事業に使っていませんか?減価償却の計算方法をわかりやすく解説! | 中原牧人税理士事務所-岡山県倉敷市のガリガリ税理士。

ここでいう減価償却の金額とは「車の購入金額」と同じになります。

 

では、ローンの返済はどうでしょう。

 

結論としては、先ほどの借入金と同じで経費にはなりません。

データ(仕訳)では、

車500,000 / 未払金500,000

となり、借入をしたという事実はでてきません。

 

しかし実際には、車を買うためにお金を借り、それを車屋に支払っています。

その借りたお金をかえしているだけなので、経費にならないのです。

 

その支払いは「経費」なのか「負債」なのか。

この意識をもっているだけでも、試算表の違う見方ができるはずです。

 

まとめ

「経営に簿記の知識は必要ですか?」

と聞かれますが、絶対に必要とはいいません。

しかし、あったほうが間違いなく有利!ということが今回の話でピンときたらうれしいです。

 

■娘日記

もうすぐ5歳になるのに未だに髪を切ったことがありません。(ようやく肩に届くくらい)

伸びてきたのがうれしいのか、お風呂で「こんなに髪が長いのよアピール」をしてきます。