グループ法人税制で譲渡損益が消える?譲渡損益調整資産とは?

複数の事業を経営している場合、ひとつの会社ではなく、事業ごとに会社をわけることがあります。

自分の会社同士でやりとりをするうえで、見落としがちなのが「グループ法人税制」です。

 

グループ法人税制とは?

自分の会社を複数もっていると、会社同士で好きなことができそうですよね。

お金を自由に動かしたり、固定資産を売って税金を安くしたり。

 

グループ法人税制とは、個人とその親族だけで経営している会社同士の「利益調整を防ぐ」ための制度です。

似たような名前の「グループ通算制度(旧連結納税制度)」は事前の申請が必要ですが、「グループ法人税制」には申請がありません。

 

つまり、該当するような取引をすると、勝手にグループ法人税制を使われてしまうのです。

 

グループ法人税制で資産を譲渡したらどうなる?

勝手にグループ法人税制を使われると、どうなってしまうのでしょうか。

結論から言うと、「利益や損失がなかったもの」とされます。

 

たとえば、「発売日に買ったゲームが1週間後には数千円も安い」と損した気分になりますよね。

買ったときより価値が下がっているものを売ると、損した気分の代わりに税金を安くしてもらえます。

 

この仕組みを利用すると、自分の会社同士なら損した気分を味わうことなく、税金だけ安くできるのです。

しかし、グループ法人税制を使われると利益や損失はなかったものとされるため、税金が安くなることはありません。

 

実際に、節税を提案したにもかかわらず、グループ法人税制の存在を忘れている税理士もいました。

(セカンドオピニオンとして相談を受けて指摘しました)

経営セーフティ共済は節税ではない?解約のデメリットとは?

 

グループ法人税の譲渡損益調整資産とは?寄付にも制限?

複数の会社をもっているだけで、いちいちグループ法人税制を使われたら面倒ですよね。

そのため、すべての資産ではなく、一定のもの(譲渡損益調整資産)に限定されています。

 

具体的には、

  • データ上の金額(帳簿価額)が1,000万円未満
  • 売買する目的でもっている株

は対象外となっており、金額が小さい資産を売るときは気にする必要がありません。

 

また、「寄付」や「配当」など、資産を売るとき以外に制限されるものもあります。

みなし寄付金とは?対象法人や限度はある?募金となにがちがうの?

 

まとめ

見落としがちなグループ法人税制について。

会社を複数もっている経営者の方は、気をつけるようにしましょう。

 

■娘日記

小学校にも慣れてきたようで、学校であった話を楽しそうに教えてくれます。

毎日途中まで迎えにいっているので、わたしまで一緒に帰る子となかよくなれました。