JCBA「金融庁に暗号資産の税制改正要望を提出」について

2022年8月9日

日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が、金融庁に暗号資産の税制改正要望を提出しました。

税理士として、見解を書いてみようと思います。

 

JCBAが金融庁に暗号資産の税制改正要望を提出

税制改正要望とは、いろいろな団体が「税金の仕組みをこんな風に変えてほしい」とお願いをするものです。

その結果、「これは変えてもいいな」と国に許可をもらったものが「税制改正大綱」としてまとめられ、法律がだんだんと変わっていくという流れになってます。

 

暗号資産の税制改正要望は、毎年のように提出されていましたが、なかなか許可がおりることはありませんでした。

ですが、自民党が「NFTホワイトペーパー Web3.0時代を見据えた我が国のNFT戦略」を発表したことで、一気にそのハードルは下がりました。

 

個人的には、2022年12月の税制改正大綱で「暗号資産についてのなにかしらの改正がある」と考えています。

もし、今年も要望がスルーされることになったら、Web3での日本のポジションは大きな遅れをとることになるでしょう。

 

税制改正要望の内容

要望は大きくわけて3つありますが、ざっくりまとめると「暗号資産を株の仲間に入れてくれ」ということです。

 

分離課税

分離課税とは、個人の税金(所得税)をまとめて計算するのではなく、一部分をわけて計算してもいいよというものです。

現在、暗号資産は総合課税となっており、まとめる所得が増えるほど税率もあがってしまいます。(最大55%)

 

ですが、分離課税になることで、株の売買とおなじように20%の税金で済むのです。

売買しやすくなることで、暗号資産に関心を持つ人が増えますし、Web3にとってもいい影響になると考えています。

 

法人税

会社が決算のときに持っている暗号資産は、時価評価することになっており、含み益が出ていると税金の対象になります。

税金は暗号資産で払うことができず、暗号資産を換金するか、手元にあるお金で払うしかありません。

 

さらに大きな問題として、自社で発行したトークン(仮想通貨)を持っていると、そのトークンも時価評価の対象になるのです。

時価評価するのは売買目的のものだけにして、「トークンはほっといてくれ」というのが要望です。

 

株の代わりにトークンを発行すると、スタートアップに必要な資金を集めやすいですが、詐欺に近いようなことも増えてしまいます。

ですが、そのデメリットを差し引いても、Web3の発展のために1番やってほしい改正です。

 

資産税

仮想通貨が分離課税に変更された場合、資産税(相続税)にも影響がある可能性が高いです。

株の仲間として認められることになり、結果的に相続税も安くなるのです。

 

ですが、資産税の要望については「正直どっちでもいいかな」と。

「Web3のために~」という今回の目的からは、少しずれているような気がしています。

 

※2022年9月2日追記

2022年8月31日に金融庁から発表された税制改正要望には、「分離課税」「資産税」についての記載はありませんでした。

つまり、改正される可能性があるのは「法人税だけ」ということです。

 

まとめ

JCBA「金融庁に暗号資産の税制改正要望を提出」について。

デジタル庁からはじまった、国の本気に期待しています。

 

◆娘(8歳)日記

ひさしぶりに、妻も含めた3人でプールへ。(かわいいのに水着を嫌がります)

いつもとちがう顔を見れてよかったのですが、妻とは滑ったスライダーをわたしと滑らないのはなぜ?泣