分掌変更の役員退職金は未払計上できない?筆頭株主でもいいの?経営上主要な地位とは?

2019年5月27日

役員に退職金を支払うことは節税としてかなり有効です。

しかし金額も大きいため、支給の際には細心の注意を払うようにしましょう。

 

役員退職金とは?退職の種類には「分掌変更」と「完全退職」がある

退職と聞いてイメージするのは「会社を辞めること(完全退職)」かと思われます。

実は、役員の退職にはそれ以外にもうひとつ方法があります。

それが「分掌変更(ぶんしょうへんこう)」です。

 

たとえば株式会社の社長(代表取締役)が、

「社長⇒会長」

となる場合、会社を辞めたわけではありませんが、会社に対する影響力はまったくちがいます。

これを退職したものとみなして、退職金を支払ってもいいよとしてくれているのです。

 

しかし、あくまでも「みなしてくれている」ということを忘れてはいけません。

名前だけ「会長」にかわっても、

  • 経営にかかわっている
  • 取引銀行の対応をしている
  • りん議書に印鑑を押している

のように実際の仕事内容が「社長」のままなら、退職金として認めてもらえません。

 

ちなみに中小企業では、

「株主=社長とその親族」

といった場合も多いですが、筆頭株主と退職金の話は関係ないので心配ありません。

影響力があるといっても「株主としての立場」と「社長としての立場」はちがうのです。

 

分掌変更は未払計上不可。分割支給もやめたほうが無難

役員の退職金は、会社に貢献してくれたお礼として、株主が支払うかどうかを決めます。

つまり、株主総会で支給を決めたときに経費になるので、決算までに支払っていなくても問題ありません。

 

しかし、分掌変更の役員退職金はちがいます。

例外として認めてくれているだけなので、実際に支払ったときにしか経費になりません。

 

資金繰りの都合上、分割して支給したい場合でも、

「とりあえず全額支払う⇒その役員からお金を借りる」

としたほうが安全です。

 

できるだけ分掌変更はせず完全退職する

そもそも分掌変更自体おすすめしません。

なぜなら分掌変更は、いったん形だけの役職についたあとに身をひく「引退の花道」が多い上場企業用につくったものであり、中小企業が形だけ退職させて節税するためのものではないからです。

 

「社長の給与をとりあえず半分にして退職金を支払う」

といったことはしないようにお願いします。

 

まとめ

役員の退職金は上手に使えば心強い節税になります。

使い方を間違えないようにしましょう。

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■娘日記

新しい服を買ったらモデルごっこをするように。

なんともいえない表情はどこで覚えたのでしょうか。