確定申告の損失繰越にデメリット?損益通算の落とし穴とは?

株で損してしまったときに、税金を安くしてくれる損失の繰越。
ですが、損益通算の確定申告をする場合、意外なデメリットがあります。
特定口座の損益通算とは?源泉徴収ありなら自動?
株を売って儲かったり、配当を受けとると、確定申告をしないといけません。
しかし、「特定口座の源泉徴収あり」を使うことで、勝手に税金がひかれるようになり、確定申告の手間はなくなります。
特定口座のメリットはそれだけではなく、
- 利益 100万円
- 損失 50万円
のように、おなじ口座に損失があるときは、合計した50万円(=100-50)が税金の対象になるように調整してくれるのです。
ですが、特定口座でもちがう口座の場合には、「損失(50万円)」は無視され、「利益(100万円)」だけが税金の対象になります。
「株で損して税金も高い」ではかわいそうなので、確定申告で「損失」と「利益」を相殺できるようになっています。
損失は「3年間」保存できるので、ちがう口座に利益がなかったとしても、来年以降の利益とも相殺できます。(毎年の申告が必要)
めでたし、めでたし…。
と言いたいところですが、確定申告をすることで、思いもよらない影響が出ることがあります。
仮想通貨と海外FXを損益通算(内部通算)?損失は相殺できます!
損益通算の注意点とは?国民健康保険・保育料が高くなる?
毎年行っている確定申告は、「所得税(国の税金)」を計算するためのものです。
ですが、確定申告をすることで、「住民税(市町村の税金)」の計算も同時に行ったことになります。
つまり、損益通算の確定申告をしてしまうと、
- 国民健康保険
- 保育料
- 高額療養費
といった「住民税の金額」を基準にするものが、株の影響で高くなってしまうのです。
「せっかく税金を安くしたのに、国民健康保険が高いからトータルで損してしまった…」
そんな事態を防ぐためには、所得税と住民税でちがう申告をしなければいけません。
つまり、「住民税は株の申告をしない」という確定申告をするのです。(ややこしい)
※2023年2月3日追記
2023年分の確定申告から、この方法(所得税と住民税でちがう申告をする)は使えなくなります。
住民税の申告不要制度のやりかたとは?
住民税は株の申告をしたくない場合、市役所にいって「住民税は株の申告をしません」と伝える必要があります。
期限は「住民税の通知書がくるまで(5月~6月)」なので、確定申告のついでにやっちゃいましょう。
(市町村で対応がちがうので、あらかじめ問い合わせたほうが安心です)
ちなみに、現役並みの所得がある方は、
- 医療費の自己負担割合
- 高額療養費
などが「所得税の収入金額」をもとに計算されるので、住民税の申告不要を使っても影響が出ることになります。
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※2021年1月10日追記
2021年分(令和3年分)の確定申告から、所得税の確定申告だけで「住民税の申告不要制度」が完結できるようになります。
まとめ
損益通算の確定申告のデメリットについて書きました。
株の税金はややこしいので、「めんどくさいから申告しない」という選択もありですよ。